紅茶の等級(グレード)の説明と等級一覧。それぞれの特徴解説も

紅茶の等級(グレード)一覧と解説

こんにちは、ミテキです。

今回は、紅茶の等級(グレード)について解説します。

紅茶の等級とは、箱の裏面に書かれていたり製品名自体であったりする、OP(またはオレンジペコ)、BOP、FOP……などのことです。

等級(グレード)は、紅茶の抽出にも関わってくる大切な概念です!

ちなみに、この記事ではまず等級って何? というところから簡単に説明しています。

等級が何かは知っているので、一覧が見たい! という方はこちらにスキップするか、下の目次を開いて気になる等級をクリックしてみてください!

紅茶の等級(グレード)は何を表している?

紅茶の等級は品質を表すものではない

等級は紅茶の等級を意味しているのか?

まず、「等級」「グレード」という言葉のイメージから誤解されやすいのですが、紅茶の等級は「美味しさ」「質の良さ」を表すものではありません。

等級それぞれに特徴があり、味わいと一切関係ないというわけでもないのですが、「この等級の紅茶は高級で美味しい、この等級の紅茶は質が悪い」ということではありません

では、紅茶における等級はいったい何を表しているのでしょうか。その答えは、紅茶の製造過程で見つかります。

紅茶の茶葉は摘みとってから揉み、広げて発酵させ、乾燥機に入れ……などさまざまな工程を経ています。そのため、その途中で必ずいろんなサイズ・形状の茶葉が生まれます

そして、お湯を入れてからちょうどよく飲めるまでの時間(抽出時間)は、茶葉のサイズや形状によって異なります。したがってサイズ・形状がバラバラのまま販売すると、味わいにムラができてしまいます。

これを避けるため、茶葉として販売するまでにサイズ・形状によって仕分けられているのです。

このサイズ・形状ごとに分けた単位を、紅茶の「等級(グレード)」と呼びます。

紅茶の等級については、こちらの記事でも簡単に説明していますので、よければ参考にしてみてください!

同じ名前でも、等級(グレード)そのものではないことも

ちょっとややこしいのですが、同じFOPなどでもサイズ・形状を表す等級(グレード)ではなく、「葉っぱそのものの部位」を表していることがあります。紅茶検定を考えている方や興味のある方は読んでみてください。

茶葉と呼び方の関係性

この場合は最終的な紅茶の等級と必ず一致するわけではなく、摘まれる前の紅茶の葉っぱ(以降はリーフといいます)の部位を表しています。リーフの一番上、FOP(フラワリー・オレンジペコ)から順番に、5枚目のS(スーチョン)まで名前がついています。

3枚目のP(ペコ)までを摘みとるのが基本の「一芯二葉」、4枚目のPS(ペコ・スーチョン)までを摘むのは「一芯三葉」と言います。

新芽(芯)1枚+葉2枚の合計3枚で、”一芯”+”二葉”です。

生まれたての新芽(FOP)はまだ太陽をしっかり浴びていないので、紅茶の渋み成分・カテキンがあまり生成されていません。そのため一芯二葉、すなわち新芽の割合が高いと甘みやなめらかさのある紅茶になります。

一芯二葉で採れる上の方の茶葉は小さく、ひとつの茶樹から少しずつしか手に入りません。お値段も比較的高価になります。

ちなみに日本茶でも、高級品とされる玉露などは一芯二葉で作られているそうです!玉露の旨みや甘みは新芽由来のものなのですね。

一方、下の方の成長した葉は上の葉に比べてかなり大きく、4枚目まで収穫する一芯三葉にするとひとつの茶樹から収穫できる量が増えます。その量は、なんと一芯二葉のおよそ2倍! それゆえ、量産を求める場合は一芯三葉が行われるようです。

なお、一般的にはやはり新芽が多いほうが高級品とされていますが、ただ単に新芽が多ければ美味しいというわけでもないのが難しいところ。新芽だけでいれた紅茶は「個性がない、もの足りない」と言われており、バランスが大切な奥が深い分野なのです。

そもそも紅茶は農作物なので、実は同じ農園、同じ摘み方、同じ新芽の割合でも毎年風味が異なるもの。何より個人の好みも大きいですから、いろんな組み合わせを試してみるのがおすすめです。

有名な紅茶の等級(グレード)一覧と解説

紅茶の有名な等級一覧

こちらが有名な等級の一覧です。

アルファベットが多くややこしいかもしれませんが、OP(オレンジペコ)、BOP(ブロークン・オレンジペコ)、CTCの3つの特徴がざっくりわかれば、お店で見かけるような等級はほぼカバーできると思います。

なお、紅茶の等級には世界での統一基準がなく、生産者の方が一方的につけていることも多いです。そのため、同じ等級の茶葉が絶対に同じ規格サイズというわけではなく、何らかの品質を保証するものでもありません。この記事では、日本の書籍などで一般的に用いられている等級をもとに説明していきます。

また、ここに載っている等級は実際使用されているうちほんの一部です。最後にアルファベットの説明もざっと行いますが、まだまだ多くの等級がありますので、知らない等級と出会ったらぜひサイズや特徴を確かめてみてください!

紅茶の等級(グレード)それぞれの解説

それでは、それぞれの等級について見ていきます!

OP(オレンジ・ペコ)

少し表と順番が前後してしまいますが、まずは基本のOP(オレンジペコ)から。

オレンジペコといってもオレンジの香料などを使っているわけではなく、あくまでサイズと形状を表す等級の一種です。オレンジの味や香りはしませんので注意です!

特徴としては茶葉が細長い針金状にねじれていて、だいたい7〜11mm程度の長さです。葉っぱを砕いたり切ったりしないで形を残す「フルリーフ」タイプに分類され、等級のなかでは大きめ。

等級のなかでもポピュラーで、「オレンジペコ」としてそのまま商品名になっていることもあります。知名度の高さもあり豊富な種類が揃いますが、セイロンティ(スリランカの紅茶)が多いイメージがあります。

個人的には、スッキリした風味を味わいたいときに重宝しています!

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FOP(フラワリー・オレンジ・ペコ)

オレンジペコのなかでも、新芽(一番目の葉)が多く含まれているものをFOPと言います。前述のように、新芽が多いとまろやかな甘みが感じられます。

柔らかい新芽が多く含まれている茶葉には、このように最初の方にF(フラワリー)がつけられていることが多いです。

BOP(ブロークン・オレンジ・ペコ)

オレンジペコと同じ茶葉をカットしたもので、標準2~3mmと小さめの茶葉。新芽も含まれています。こちらも有名で、よくお店で見かける等級のひとつです。

オレンジペコやFOPがフルリーフタイプだったのに対し、こちらは葉っぱを切ったり砕いたりした「ブロークン」タイプに分類されます。BOPのほかにも、ベースの茶葉をカットしたものは基本的にB(ブロークン)の名が付きます。

茶葉が小さいため抽出が早く、濃く抽出されやすい等級です。ティーバッグなどでもよく見かけるかと思います。

茶葉にもよりますが、濃く出やすいのでミルクと合わせやすく、ミテキの家ではミルクティを飲みたいときに活躍します……!

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BOPF(ブロークン・オレンジ・ペコ・ファニングス)

BOPをもっと細かくした等級。ふるいにかけて細かくしています。

ファニングス」という、ほとんど粉状になったタイプに分類されます。ファニングは、もともと風で飛びやすい軽い茶葉という意味(紅茶検定上級テキストより)。こちらも細かいため抽出が早いです。

ちなみに茶葉が小さい方が抽出が早い理由は、

同じグラムの大きい茶葉より表面積が大きい=茶葉と液体の触れている面積が大きい

ことが大きな要因です。

細かくなると表面積が増えることの説明

「大きな球体1つ」と「それを割った半球2つ」を水につけることを考えてみると、半球のほうが濡れる面積が大きいのがなんとなくイメージできるかなと思います。

ちょっと水に触れているだけよりも、たくさんの水とくっついているほうが成分が溶け出すのも早いです。だいたいそういうわけで、たくさんの部分が水に触れている小さい茶葉のほうが紅茶の抽出が早くなっています。

D(ダスト)

F(ファニングス)よりもさらに細かい等級区分。わざわざ作るというよりは、ブロークンタイプの製造工程でできた粉末を集めて使用します。ダストは直訳すると「ちり・ほこり」になるので悪いイメージかもしれませんが、紅茶のダストはその抽出の早さから重宝されています。

こちらもティーバッグのブレンドによく使用され、良質なものは高値で取引されます。

CTC

実はこのCTC、サイズ区分ではなくて茶葉製法・製造機械の名前。つまり厳密には等級ではないのですが、CTC製法で作られた茶葉は独特の形になっており、商品に「CTC」と表示されていることも多いのです。今回は等級の説明の中で解説しますね。

CTCは今や世界紅茶生産量の約60%を占める製法で、「クラッシュ(Crush)・ティアー(Tear)・カール(Curl)」の頭文字をとったもの。その名の通り、つぶして(クラッシュ)、引き裂いて(ティアー)、丸めて(カール)作られた茶葉です。

茶葉をよく見てみると一つ一つまんまるになっており、「これがもともと葉っぱだったの?」と思うような形。茶葉としての販売はもちろん、ティーバッグ用やブレンド用などさまざまな用途で流通しています。

機械で作るので、大量生産が可能で抽出が早く水色も濃いです。ちなみにCTCはあくまで製法なので、CTCのなかでも等級が分かれています。

なかでもアッサムのCTCは、どっしりしたコクがミルクティによくあいます!

ちなみに、昔ながらの製法をオーソドックス製法、CTCのような主に機械を用いた製法をアンオーソドックス製法といいます。どちらの良さも取り入れようとする製法もあります。

地域を見ていくと、たとえばダージリンはオーソドックス製法、アッサムはほぼCTCで作られているなど、茶葉・産地によってどちらを取るか分かれているのが面白いです。

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その他の紅茶の等級(グレード)とアルファベットについて

ここからは、「さらにマニアックな等級を知りたい!」あるいは「上の方に調べたい等級が載っていなかった!」という方のために解説します。最後にざっとアルファベットについてもまとめますね。

FTGFOP1(ファイン・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジペコ・ワン)

FTGFOP1、略さずに言うと「ファイン・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジペコ・ワン」という驚異の長さ。紅茶検定の勉強中、呪文のように唱えていました(試験には出ませんでした)。

主にダージリンで使用される等級。新芽が多くよく揉まれて、香りも色も良いという意味でつけられています。

このFTGFOP1と同じような条件で、これより少しヨレが甘いものにTGFOPという等級があります。こちらはアッサムで主に使われる等級です。

なお、紅茶検定上級を受ける方は、上級テキストの等級一覧から「等級と茶葉・産地の関係」に関する問題が出されたことがあるので注意してください。

例:FTGFOP1は主にどの茶葉で使われる等級か → ダージリン

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P(ペコ)、PS(ペコ・スーチョン)、S(スーチョン)

育ったかたい葉(上から3番目のP〜5番目のS)まで使用する、珍しい紅茶。それぞれ等級単体での販売はほぼ見かけないのではないでしょうか。

特にスーチョンはあまり紅茶には使われない等級なのですが、ラプサンスーチョン(正山小種)という紅茶にはその名の通りスーチョンを使用します。癖のある紅茶ですが、日本では珍しいので機会があればぜひ試してみてくださいね。

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葉が柔らかい順に ペコ → ペコ・スーチョン → スーチョン となっており、かたくなるほど味や香りが薄くなる傾向にあります。

また、OP(オレンジペコ)をカットしたものがBOP(ブロークン・オレンジペコ)になったように、それぞれをカットしたBP(ブロークン・ペコ)、BPS(ブロークン・ペコ・スーチョン)も存在しています。

今回調べてみた限りでは、BS(ブロークン・スーチョン)に言及している本やサイトはありませんでした。そもそも通常の一芯三葉では摘み取らない葉なので、BSという等級は基本製造されていないのかもしれません。

代表的なアルファベットのまとめ

上でも説明したとおり、等級はブランドや農場によって規格が異なる厄介なもの。オリジナルの等級もあり、この記事だけで網羅できたとは言えません。

しかし、等級で使用されるアルファベットのルールがわかれば、知らない等級でも想像しやすいです。最後に、この記事で少しずつご紹介してきたアルファベットをまとめてみます。

最初の方のF

最初の方のFは、品質の良さを意図するファイン(fine)か、新芽が多いことを表すフラワリー(flowery)の頭文字です。

例:FOP、FTGFOP1

G

Gはゴールデン(golden)で、水色が黄金色であること、つまり色の良さを表しています。

例:GFBOP、GBOP、TGOF

T

Tはティッピー(tippy)。新芽が多いことを意味しています。甘みがあり高級とされます。

例:FTGFOP1、TGOF

S

Sはスペシャル(special)のS。最高級品を表す生産者側の意図があります。

例:SFTGFOP1

B

ブロークン(broken)のBは茶葉をカットしたことを意味します。比較的細かいサイズの茶葉です。

例:BOP、BP、BOP1

最後のF

Bより細かく、Dよりは大きい茶葉を意味するファニングス(fannings)。ファニングスのFは、最後についていることが多いです。

BもFもついている場合は、「Bの茶葉をさらに細かくしてFにした」というわけで、大きさはF基準となります。

例:BOPF、PF、TGOF

D

Fよりさらに小さいダスト(dust)。等級としては「Dust」として取引されますので、D自体はほぼ見かけないと思います。

例:PD

等級を知って、さらに楽しい紅茶ライフを

今回は紅茶の等級の解説と、等級一覧などをご紹介しました。想定していたよりも長い記事になってしまいましたが、これでもまだまだ紹介しきれたとはいえないほど、等級の世界は奥が深いです。

等級は品質そのものを表しているわけではないとはいえ、ものによってはやはり風味も抽出時間も異なります。茶葉の味わいとの組み合わせ、気分や飲み方でどれを選ぶか考えるのも楽しいですね。

ぜひパッケージを一度確認して、普段飲んでいる紅茶がどんな等級なのか見てみてください!

<参考文献>

紅茶検定上級用テキスト(本屋さんでは販売していません)

紅茶の大事典 [ 日本紅茶協会 ]

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